2008年02月06日
公会計と上下水道事業
12月8日「公会計」の続編です。本日の話の内容は「総務省方式改正モデル」における下水道事業や簡易水道事業の取扱方法です。道路や河川も同じで、決算統計書から資産評価を行うことになります。「総務省方式改正モデル」は自治体財政の状況を普通会計だけではなく、下水道事業や道路・河川・学校等を含めて、既存の資料を使って総合的に判断する仕組みです。
<監査法人からアドバイス>
大手監査法人の公的機関を担当されている公認会計士さんの話では、「総務省方式改正モデル」を適用する簡易水道事業や下水道事業は決算統計の積み上げになるので、すぐに資産評価や資産台帳を作る必要はありません。また、準備物や作成方法は難しくありませんし、時間もそれほどかかりません。方法については研修会で説明するとのことです。
<現場の問題点>
本年秋、健全化判断比率が公表されます。この時期に市民・議会へこれらの指標を報告する場合、財務書類を早急に取りまとめる必要があります。したがって、4月から府県が中心になって研修会が開催されます。しかし、会計の専門家の方からは別の見方もあるようですが、上下水道の現場の問題点をまとめると次のようになります。
① 簡易水道事業の補助金メニューにある「増補・改良」には、修繕・修理に該当する工事がたくさん含まれる。これは過大な資産評価になるのではないか?
② 「当面の間」は「総務省方式改正モデル」を認めるとしても、結局、「基準モデル」へ移行するのであれば2度手間になるのではないか?
③ 料金改正に使用できない
<忘れてはいけないこと>
「総務省方式改正モデル」では資産評価や資産台帳をすぐに求めていません。しかし、資産評価や資産台帳の作成費用、電算システムの導入費用、民間的経営手法の導入に伴う準備経費は特別交付税措置が受けられます。特に、簡易水道事業では、実施期間は平成23年度までですから、費用の負担を考えると、同時に資産評価や資産台帳の準備に取り掛かることが望ましいと思われます。
<監査法人からアドバイス>
大手監査法人の公的機関を担当されている公認会計士さんの話では、「総務省方式改正モデル」を適用する簡易水道事業や下水道事業は決算統計の積み上げになるので、すぐに資産評価や資産台帳を作る必要はありません。また、準備物や作成方法は難しくありませんし、時間もそれほどかかりません。方法については研修会で説明するとのことです。
<現場の問題点>
本年秋、健全化判断比率が公表されます。この時期に市民・議会へこれらの指標を報告する場合、財務書類を早急に取りまとめる必要があります。したがって、4月から府県が中心になって研修会が開催されます。しかし、会計の専門家の方からは別の見方もあるようですが、上下水道の現場の問題点をまとめると次のようになります。
① 簡易水道事業の補助金メニューにある「増補・改良」には、修繕・修理に該当する工事がたくさん含まれる。これは過大な資産評価になるのではないか?
② 「当面の間」は「総務省方式改正モデル」を認めるとしても、結局、「基準モデル」へ移行するのであれば2度手間になるのではないか?
③ 料金改正に使用できない
<忘れてはいけないこと>
「総務省方式改正モデル」では資産評価や資産台帳をすぐに求めていません。しかし、資産評価や資産台帳の作成費用、電算システムの導入費用、民間的経営手法の導入に伴う準備経費は特別交付税措置が受けられます。特に、簡易水道事業では、実施期間は平成23年度までですから、費用の負担を考えると、同時に資産評価や資産台帳の準備に取り掛かることが望ましいと思われます。
2008年01月23日
公会計
<小さな水道の悩み>
小さな上下水道課へ打ち合わせに行くと、塩素酸の検査費用や次亜塩素酸ソーダの管理方法のほかに、一般会計と水道や下水道との連結決算がよく話題になります。昨年、「新地方公会計制度実務研究会報告書」が発表され、基準モデルと総務省方式改訂モデルの2種類の作成基準が示され、自治体はどちらかの方法に基づいて財務諸表を作成することを求められています。このために上下水道課は何を準備すればよいのか、その効果的な利用方法は何かといった内容です。
20年度の決算を基にした21年度に財務4表の公表への過程は、大変な作業のうえ1年前倒しの公表を求められている場合もあります。しかし、多くの下水道事業や簡易水道事業は公営企業会計を採用していないことから、資産評価や資産台帳の整備も必要で、これに伴う作業の膨大さから、上下水道課の技術・営業ともに悩みを抱えるものとなっております。
<アンケート調査結果と実感>
昨年、社会経済生産性本部が地方自治体に向けてアンケート調査を行い、その結果が年末に発表されています。90㌫以上の団体が当面は「基準モデル」を採用しないとのことですから、現行の総務省方式や独自方式を採用している自治体を除き、新しく財務諸表を作成する自治体は、決算統計が利用できる「総務省方式改訂モデル」が標準になるのではないかと思われます。また、府県レベルでも、総務省方式改訂モデルによる研究会が立ち上げている、あるいは準備中としているところが多いようです。
この背景としては、21年(23年)までに会計制度を整備するには、資産評価や資産台帳の整備が間に合わない。本年秋、健全化判断比率が公表されるので、前倒しで財務書類を整備・公表したい。このため「基準モデル」では時間的な制約が解決できないとの理由があるようです。特に、数町村の合併によって新市(町)として発足している場合、簡易水道事業や小規模な下水道事業を含むことが多いので、この傾向は強まります。
<問題点は何か>
多数の会計の専門家が指摘している「総務省方式改訂モデル」の問題点は、工事請負費には資産形成と維持補修が混在していることです。建設事業費の累計額で資産を計上すると、維持補修の金額も計上されることもあり、資産を過大に計上する可能性がります。
例えば、増築を行う場合、「○〇棟増築工事」として発注され、同時に既設建築物の補修や改修が行われることは珍しいことではありません。したがって、複数の仕訳候補がある場合の取扱について、実作業が開始される時期までには運用上必要な基準を示す(あるいは自治体で作成する)ことが必要と思います。
もうひとつの問題点として指摘されていることは、本来は「基準モデル」が基本になるが、導入経費や時間の制約から「総務省方式改訂モデル」を採用することです。総務省は「当面の間」としているが、「総務省方式改訂モデル」が事実上の標準になるので、資産評価等が先送りされる感じがします。
特に、上下水道事業で問題になっているのは、この資産評価を中心にした内容です。
<簡易水道事業と下水道事業への影響>
組織の合理化で、水道課と下水道課が一体化して、上下水道課あるいは上下水道部(局)として組織体制を構築している場合が多数あります。日常的な業務はこの体制で問題はありませんが、料金の問題になると複雑になるような気がします。
すでに地方公営企業法の適用を受けている水道事業の料金の改定時には、公営企業会計の基準による原価配賦を行い、料金を算定していくのが一般的です。しかし、簡易水道事業や下水道事業で「総務省方式改訂モデル」を適用し料金を試算した場合、異なる減価償却費の算出で原価配賦を行うことになるので、需要者や利用者に対して非常に説明のつきにくいものになってしまいます。自治体財政と簡易水道や下水道の料金は別の問題と考えることもできるのですが、同じものさしで料金を考えるほうがすっきりします。
<何のための財務書類か>
桜内文城氏(元新潟大学経済学部准教授、新地方会計制度研究会委員)は次のようにまとめています。
「例えば、企業でも顧客向けと株主向けで説明すべきことが異なるように、国や自治体も、その運営にあたっての意思決定の内容、すなわち予算編成の経緯がわかるような財務諸表を作るべき」としています。
水道の需要者や下水道の利用者に対して、料金体系、給水開始・停止等の情報を公開するだけではなく、予算の編成のプロセスも明らかにしていくことが必要なようです。また、料金の改正時にも説明のできる会計制度の採用が必要ではないかと思います。
小さな上下水道課へ打ち合わせに行くと、塩素酸の検査費用や次亜塩素酸ソーダの管理方法のほかに、一般会計と水道や下水道との連結決算がよく話題になります。昨年、「新地方公会計制度実務研究会報告書」が発表され、基準モデルと総務省方式改訂モデルの2種類の作成基準が示され、自治体はどちらかの方法に基づいて財務諸表を作成することを求められています。このために上下水道課は何を準備すればよいのか、その効果的な利用方法は何かといった内容です。
20年度の決算を基にした21年度に財務4表の公表への過程は、大変な作業のうえ1年前倒しの公表を求められている場合もあります。しかし、多くの下水道事業や簡易水道事業は公営企業会計を採用していないことから、資産評価や資産台帳の整備も必要で、これに伴う作業の膨大さから、上下水道課の技術・営業ともに悩みを抱えるものとなっております。
<アンケート調査結果と実感>
昨年、社会経済生産性本部が地方自治体に向けてアンケート調査を行い、その結果が年末に発表されています。90㌫以上の団体が当面は「基準モデル」を採用しないとのことですから、現行の総務省方式や独自方式を採用している自治体を除き、新しく財務諸表を作成する自治体は、決算統計が利用できる「総務省方式改訂モデル」が標準になるのではないかと思われます。また、府県レベルでも、総務省方式改訂モデルによる研究会が立ち上げている、あるいは準備中としているところが多いようです。
この背景としては、21年(23年)までに会計制度を整備するには、資産評価や資産台帳の整備が間に合わない。本年秋、健全化判断比率が公表されるので、前倒しで財務書類を整備・公表したい。このため「基準モデル」では時間的な制約が解決できないとの理由があるようです。特に、数町村の合併によって新市(町)として発足している場合、簡易水道事業や小規模な下水道事業を含むことが多いので、この傾向は強まります。
<問題点は何か>
多数の会計の専門家が指摘している「総務省方式改訂モデル」の問題点は、工事請負費には資産形成と維持補修が混在していることです。建設事業費の累計額で資産を計上すると、維持補修の金額も計上されることもあり、資産を過大に計上する可能性がります。
例えば、増築を行う場合、「○〇棟増築工事」として発注され、同時に既設建築物の補修や改修が行われることは珍しいことではありません。したがって、複数の仕訳候補がある場合の取扱について、実作業が開始される時期までには運用上必要な基準を示す(あるいは自治体で作成する)ことが必要と思います。
もうひとつの問題点として指摘されていることは、本来は「基準モデル」が基本になるが、導入経費や時間の制約から「総務省方式改訂モデル」を採用することです。総務省は「当面の間」としているが、「総務省方式改訂モデル」が事実上の標準になるので、資産評価等が先送りされる感じがします。
特に、上下水道事業で問題になっているのは、この資産評価を中心にした内容です。
<簡易水道事業と下水道事業への影響>
組織の合理化で、水道課と下水道課が一体化して、上下水道課あるいは上下水道部(局)として組織体制を構築している場合が多数あります。日常的な業務はこの体制で問題はありませんが、料金の問題になると複雑になるような気がします。
すでに地方公営企業法の適用を受けている水道事業の料金の改定時には、公営企業会計の基準による原価配賦を行い、料金を算定していくのが一般的です。しかし、簡易水道事業や下水道事業で「総務省方式改訂モデル」を適用し料金を試算した場合、異なる減価償却費の算出で原価配賦を行うことになるので、需要者や利用者に対して非常に説明のつきにくいものになってしまいます。自治体財政と簡易水道や下水道の料金は別の問題と考えることもできるのですが、同じものさしで料金を考えるほうがすっきりします。
<何のための財務書類か>
桜内文城氏(元新潟大学経済学部准教授、新地方会計制度研究会委員)は次のようにまとめています。
「例えば、企業でも顧客向けと株主向けで説明すべきことが異なるように、国や自治体も、その運営にあたっての意思決定の内容、すなわち予算編成の経緯がわかるような財務諸表を作るべき」としています。
水道の需要者や下水道の利用者に対して、料金体系、給水開始・停止等の情報を公開するだけではなく、予算の編成のプロセスも明らかにしていくことが必要なようです。また、料金の改正時にも説明のできる会計制度の採用が必要ではないかと思います。





