2008年01月27日
土壌汚染防止へ指針
<毎日新聞>
1月22日、毎日新聞朝刊の1面トップで「土壌汚染防止へ指針」、「環境省 操業中の工場対象」、「10年度策定」の記事が出ていました。要旨は、土壌汚染対策法では廃止された工場などの土地などが対象になるのに対し、再開発などで土壌汚染が発覚することから操業中の汚染防止対策が求められる。今後、金属加工や化学薬品製造などの企業がとる汚染対策を調べ、技術的な課題を整理して10年度にガイドラインを作成するというものです。
シリーズ企画「公害 過去 現在」では東日本版・西日本版に分けて都道府県の環境問題を取り上げています。タイトルの「公害」は久しぶりに見た言葉で、あえて古い言葉を持ち出す背景に意味があるのでしょう。
<私たちの仕事>
私たちは仕事として、地歴の調査、試料採取地点の選定、ボーリング、埋立地の抽出水・地下水に溶解する物質等の分析、地下水の流向・流速の調査、土壌・地下水の浄化工法等の検討を行い、顧客に対して技術的なサービスを提供しています。しかし、そのサービス内容と顧客の満足については、会社によって大きな差があるように思います。
<土壌汚染と顧客サービス>
昨年、土壌環境センターが行った「指定調査機関に関する自治体アンケート」について興味深い結果が示されております。「法律を契機とする調査について、指定調査機関の技術的能力が不十分なため問題を生じたか」という問いに対して、116自治体から回答があり、そのうち「ある」との回答が29自治体(25%)ありました。
私たち土壌汚染指定調査機関にとっては耳の痛い話ですが、試料採取ポイントの設定方法や汚染のおそれの区分の判断が不適切であったとの内容です。
指定調査機関の指定登録にあたって、技術者の数や質についてハードルを下げていましたので、現状ではこのような厳しい評価が出ているのだと思います。「土壌環境施策に関するあり方懇談会」では調査員の個人名記載、有効期間の設定、指定更新時講習等に必要性が論議されています。私たちは社会的な責任として、技術的サービスの質をどのように高めるか十分に検討する必要があると思います。
1月22日、毎日新聞朝刊の1面トップで「土壌汚染防止へ指針」、「環境省 操業中の工場対象」、「10年度策定」の記事が出ていました。要旨は、土壌汚染対策法では廃止された工場などの土地などが対象になるのに対し、再開発などで土壌汚染が発覚することから操業中の汚染防止対策が求められる。今後、金属加工や化学薬品製造などの企業がとる汚染対策を調べ、技術的な課題を整理して10年度にガイドラインを作成するというものです。
シリーズ企画「公害 過去 現在」では東日本版・西日本版に分けて都道府県の環境問題を取り上げています。タイトルの「公害」は久しぶりに見た言葉で、あえて古い言葉を持ち出す背景に意味があるのでしょう。
<私たちの仕事>
私たちは仕事として、地歴の調査、試料採取地点の選定、ボーリング、埋立地の抽出水・地下水に溶解する物質等の分析、地下水の流向・流速の調査、土壌・地下水の浄化工法等の検討を行い、顧客に対して技術的なサービスを提供しています。しかし、そのサービス内容と顧客の満足については、会社によって大きな差があるように思います。
<土壌汚染と顧客サービス>
昨年、土壌環境センターが行った「指定調査機関に関する自治体アンケート」について興味深い結果が示されております。「法律を契機とする調査について、指定調査機関の技術的能力が不十分なため問題を生じたか」という問いに対して、116自治体から回答があり、そのうち「ある」との回答が29自治体(25%)ありました。
私たち土壌汚染指定調査機関にとっては耳の痛い話ですが、試料採取ポイントの設定方法や汚染のおそれの区分の判断が不適切であったとの内容です。
指定調査機関の指定登録にあたって、技術者の数や質についてハードルを下げていましたので、現状ではこのような厳しい評価が出ているのだと思います。「土壌環境施策に関するあり方懇談会」では調査員の個人名記載、有効期間の設定、指定更新時講習等に必要性が論議されています。私たちは社会的な責任として、技術的サービスの質をどのように高めるか十分に検討する必要があると思います。
2008年01月07日
土壌汚染と日本版SOX法
<滋賀県公害防止条例の改正>
本年4月から、滋賀県では改正公害防止条例が適用され、土壌汚染に対して規制が強化されます。県条例の改正内容では、法施行より前に操業をやめた工場跡地にも調査を義務付けております。この改正は滋賀県が特別に土壌汚染防止対策に突出しているわけではなく、環境省も同様な内容で土壌汚染対策法の改正を目指しているようです。
しかし、今回の条例改正はスーパーファンド法的な内容ではありませんが、環境に対する規制強化だけではなく、社会・経済環境の変化によって、企業にとって大きな意味をもつことになります。
環境省では、わが国のブラウンフィールド化する可能性のある土地は約2.8万ha、資産規模で約10.8兆円、これに要する対策費用は約4.2兆円と試算して、今後取り組むべき重要課題であることが指摘しています。
<日本版SOX法>
技術者のなかではあまり知られていませんが、土壌汚染対策法や公害防止条例の改正に大きく関わりがあるのが日本版SOX法の存在や会社法です。日本版SOX法(JSOX)は、正式には金融商品取引法(「証券取引法等の一部を改正する法律」およびその整備法)と言い、2006年6月に国会で成立し、2007年9月30日に完全施行されています。概要は次のようなもので、日本版SOX法によって、企業の財務報告に対する説明責任は一層高まり、財務報告や内部統制に関わるビジネスプロセスが可視化されると考えられています。
• 上場企業及び連結子会社に義務付けられ、2009年(平成21年)3月期の決算から適用
• 財務報告に関わるプロセスを全て文書化し、内部統制報告書を有価証券報告書とともに内閣総理大臣に提出
• 内部統制に大きな欠陥、不備があった場合、株価低下を招き、最悪の場合、上場廃止もありうる
<土壌汚染と日本版SOX法の関係>
なぜJSOXが土壌汚染と関係が深いかを考えてみます。環境省の資料においても、土壌汚染は環境問題ではなく経済問題の側面が強いとしていますし、対策費用が地価の3割を超えると売却は困難としています。
大規模で深刻な土壌汚染を発生する可能性が最も高いのが地方の工場と考えるからです。工場は安くて広い土地を求めて大都市の周辺で建設されます。したがって、土壌汚染が発生した場合、企業イメージを始め影響は広範囲に及びます。しかし、問題はここだけにあるわけではありません。
ひとつは減損会計の存在です。安くて広い土地を購入しているので汚染の範囲も広く、修復の範囲も広くなります。修復費用は工法によって異なりますが、郊外の安い土地を購入している場合、土地取得価格よりも修復費用が上回る事態も予想されます。したがって、修復費用が純資産比率を始め企業経営に与える影響は大きいものになります。
環境省の資料では次のような算出式を示しております。
(土壌汚染地の価値)=(土壌汚染がないものとした価値)-(措置費用)-(スティグマ)
*スティグマ:ギリシャ語で、奴隷や犯罪者の身体に刻印された徴(しるし)の意
企業会計においても、固定資産の除去の際に生じる環境汚染対策費を、債務(資産除去債務)に位置づける動きがありますし、金融機関によっては土壌汚染を受けた土地の担保評価をゼロにする場合もあります。なお、土壌汚染対策法で、法的に汚染除去が義務付けられる土地で、減損会計の適用対象となる場合であっても、税務上は、土地の帳簿価額を減額することはできないようです。
あとひとつは情報の公開です。土壌汚染対策法では情報の公開は直接求めておりません。しかし、昨年の「偽」は社会的に許されませんし、JSOXや新会社法によるリスク開示義務に対する内部統制に大きな欠陥があった場合、株価の低下を招くことになります。したがって、上場企業は、土壌汚染をリスク管理のひとつの要因として、真剣に向かい合う必要があります。
本年4月から、滋賀県では改正公害防止条例が適用され、土壌汚染に対して規制が強化されます。県条例の改正内容では、法施行より前に操業をやめた工場跡地にも調査を義務付けております。この改正は滋賀県が特別に土壌汚染防止対策に突出しているわけではなく、環境省も同様な内容で土壌汚染対策法の改正を目指しているようです。
しかし、今回の条例改正はスーパーファンド法的な内容ではありませんが、環境に対する規制強化だけではなく、社会・経済環境の変化によって、企業にとって大きな意味をもつことになります。
環境省では、わが国のブラウンフィールド化する可能性のある土地は約2.8万ha、資産規模で約10.8兆円、これに要する対策費用は約4.2兆円と試算して、今後取り組むべき重要課題であることが指摘しています。
<日本版SOX法>
技術者のなかではあまり知られていませんが、土壌汚染対策法や公害防止条例の改正に大きく関わりがあるのが日本版SOX法の存在や会社法です。日本版SOX法(JSOX)は、正式には金融商品取引法(「証券取引法等の一部を改正する法律」およびその整備法)と言い、2006年6月に国会で成立し、2007年9月30日に完全施行されています。概要は次のようなもので、日本版SOX法によって、企業の財務報告に対する説明責任は一層高まり、財務報告や内部統制に関わるビジネスプロセスが可視化されると考えられています。
• 上場企業及び連結子会社に義務付けられ、2009年(平成21年)3月期の決算から適用
• 財務報告に関わるプロセスを全て文書化し、内部統制報告書を有価証券報告書とともに内閣総理大臣に提出
• 内部統制に大きな欠陥、不備があった場合、株価低下を招き、最悪の場合、上場廃止もありうる
<土壌汚染と日本版SOX法の関係>
なぜJSOXが土壌汚染と関係が深いかを考えてみます。環境省の資料においても、土壌汚染は環境問題ではなく経済問題の側面が強いとしていますし、対策費用が地価の3割を超えると売却は困難としています。
大規模で深刻な土壌汚染を発生する可能性が最も高いのが地方の工場と考えるからです。工場は安くて広い土地を求めて大都市の周辺で建設されます。したがって、土壌汚染が発生した場合、企業イメージを始め影響は広範囲に及びます。しかし、問題はここだけにあるわけではありません。
ひとつは減損会計の存在です。安くて広い土地を購入しているので汚染の範囲も広く、修復の範囲も広くなります。修復費用は工法によって異なりますが、郊外の安い土地を購入している場合、土地取得価格よりも修復費用が上回る事態も予想されます。したがって、修復費用が純資産比率を始め企業経営に与える影響は大きいものになります。
環境省の資料では次のような算出式を示しております。
(土壌汚染地の価値)=(土壌汚染がないものとした価値)-(措置費用)-(スティグマ)
*スティグマ:ギリシャ語で、奴隷や犯罪者の身体に刻印された徴(しるし)の意
企業会計においても、固定資産の除去の際に生じる環境汚染対策費を、債務(資産除去債務)に位置づける動きがありますし、金融機関によっては土壌汚染を受けた土地の担保評価をゼロにする場合もあります。なお、土壌汚染対策法で、法的に汚染除去が義務付けられる土地で、減損会計の適用対象となる場合であっても、税務上は、土地の帳簿価額を減額することはできないようです。
あとひとつは情報の公開です。土壌汚染対策法では情報の公開は直接求めておりません。しかし、昨年の「偽」は社会的に許されませんし、JSOXや新会社法によるリスク開示義務に対する内部統制に大きな欠陥があった場合、株価の低下を招くことになります。したがって、上場企業は、土壌汚染をリスク管理のひとつの要因として、真剣に向かい合う必要があります。





