2007年11月03日

直結給水

(受水槽・高架水槽システム)
現在住んでいるマンション(120戸 7階建て)の水道水は、水道局の配水管から、敷地内のメータを通り、受水槽に入り、横に設置されているポンプで屋上の高置水槽へ送水されています。その高置水槽から自然流下で水道水は給水管によって各戸へ給水されています。

このシステムは、水道施設が水需要に追いつかず、水圧不足問題を解消するために採用されていた方式で、建設当時としては一般的な給水方式でした。しかし、現在では、当初考えられていた配水管から受水槽へ流入する際の水圧変動も大きくなく、逆に、水質悪化やエネルギーの損失問題がクローズアップされ、配水管から直接給水するシステムが採用されています。しかし、最小動水圧がある程度は必要なことから、すべての給水区域で利用できるわけではなく、技術的な検討が必要です。


(維持管理費用)
以前から管理組合で問題とされてきたことは、受水槽・高置水槽システムの維持管理費用です。受水槽の防水工事、FRP製高架水槽の劣化対策工事、仕切り弁の取替工事など施設の補修費用は、10年単位では数100万円になっております。

また、送水ポンプに伴う電気料金、毎年実施する高架水槽の掃除、・水質検査、ポンプの点検費用など管理費用は、年間で100万円近く発生しております。マンションの水道システムを維持管理する費用の合計金額は、水道料金以外に、1戸当たり年間1万円程度の居住者負担になっています。


(エネルギー)
受水槽・高置水槽システムは、水道が持っている配水管水圧を受水槽でいったんゼロにしてしまい、改めてポンプで高架水槽まで加圧することから、エネルギーのロスが多いシステムになっています。他の大都市の報告では、直結給水方式は受水槽・高置水槽のシステムと比べ、電力消費量は1/3〜1/15になるとされています。


(受水槽スペース)
さらに、受水槽がなくなれば、駐車場スペースが確保でき、新しい収入が生まれる。
そこで、受水槽・高置水槽を経由しないで、直接各戸へ給水する直結給水の採用が可能かどうか、上下水道局給水課に相談に行ってきました。


(技術的条件)
対応していただいたのは課長補佐で、親切に説明を受けました。直結給水を行うための技術的な主な条件は次のとおりです。

① 配水管の最小動水圧が0.245Mpa(2.5kgf/cm2)以上あり、将来においても同値が確保されること(給水課または営業所で調べることができます。なお、私が住んでいるマンションの最小動水圧は3.0 Mpaで水圧の問題はありません)
② 給水管の呼び径は75mm以下
③ 計画一日平均使用量はファミリータイプで160m3/日以下、ワンルームタイプは227m3/日以下が目安
④ 給水管内の流速は2.0m/秒以下
⑤ 高置水槽経由の直結式給水方式ではないこと
⑥ 同時(瞬時)使用水量等はメータの適正計量範囲内であること


(水道局の見解)
水道システムとして、直結給水・増圧ポンプ給水(増圧式給水)併用による方式が総エネルギーの最も小さいシステム(ゾーニング方式を含める)と考えており、京都議定書の精神を考えると、直結給水方式を推進する立場にある。また、受水槽等の水質問題(ねずみや昆虫等小動物の混入、滞留時間が長い場合は残留塩素の減少、雨水の浸入)の解決策としての役割は大きい。


(既設マンションの壁)
しかし、既設マンションでよく問題になるになるのは負担金問題、水圧試験、地震等災害時の飲料水確保だそうです。

例えば、設計口径が75mmに対して現状の給水管が50mmの場合、直結給水の設計口径と現状の給水管口径の差による負担金が発生する。
水圧試験は0.98Mpa(10.0kgf/cm2)による5分間保持を行う。この時、古いパイプ継ぎ手から漏水を引き起こすことがあること。したがって、直結給水は新築のマンション等を原則にしている。

地震等災害時には、受水槽や高置水槽にたまっている水道水を利用することができ(ストック機能)、給水車から受水槽に直接水道水を給水することができる長所を失う。

これ以外に、逆止弁の問題があります。高い性能を求めれば高価で大型化し損失水頭も大きい。また、逆止弁が正常に機能しているかどうか、居住者がチェックする難しさがあります。


(わがマンションにとっては)
マンションにとって、水質管理・維持管理費の削減・地球温暖化防止対策の推進の視点から直結給水が有利と思いますが、地震時の給水を考えると現状の受水槽・高架水槽方式も捨てがたいシステムです。

直結給水の採用にあたり、私たちのマンションでは技術的な条件や負担金の問題はありません。しかし、水圧試験(築20年以上のためパイプ継ぎ手の問題)、地震時の給水問題、ゾーニング方式の技術的検討など、もう少し調査・検討が必要なようです。  

Posted by wesco at 17:16Comments(0)TrackBack(0)直結給水